高度化する不正にAIで立ち向かう~金融・決済業界で成果を分ける「自動化水準」と「業務の再設計」~
2026年11月
マネージャー
田中 遼一
決済の多様化とデジタル取引の拡大により、リスク管理が向き合う取引の「量」は増え続けている。一方、生成AIを悪用したなりすましなど手口の巧妙化により、不正の「質」も高度化している。ルール追加と目視審査を積み上げる人手中心の運用では、アラートの増加が判断の遅延を招き、限界は目前である。本論考では「自動化水準の明確化」と「業務・統制の再設計」を、AI導入の成否を分ける要点として考察する。
はじめに
決済サービスの多様化やデジタル取引の拡大を背景に、不正取引の手口は急速に高度化している。フィッシング、アカウント乗っ取り(ATO)、SIMスワップやディープフェイクによるなりすましといった攻撃手法は機械学習や生成AIを悪用した形にまで進化しており、従来のルールベースの検知モデルでは対応の限界が現実のものとなりつつある。こうした環境変化の中、決済事業者のリスク管理部門には、不正検知の精度向上と業務処理の効率化という二つの命題に同時に応えることが求められている。その有力な手段として注目されるのが…
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