企業の「エネルギー自給率」を 経営指標に~ホルムズ海峡有事後に問われる需要家主導の エネルギー戦略~
2026年9月
シニアエキスパート
吉川 賢一
前稿「ホルムズ海峡有事からみる日本企業のエネルギーチェーンの再定義」では、地政学リスクが燃料・電力の「価格」と「量」に同時に波及する構造を論じた。燃料供給の制約は、発電・熱供給コストを押し上げ、電気・ガス料金や契約条件を通じて需要家へ伝播する。危機が去った後に従来の調達構造へ戻れば、次の危機でも同じ脆弱性が顕在化する。企業が問うべきは、調達価格の高低だけではない。「自社の事業活動が、外部から購入する電力・燃料・熱にどの程度依存し、その変動・途絶にどこまで耐えられるか」である。
本稿の結論
本稿の結論を先に述べれば、企業のエネルギー危機への備えは、安価な供給事業者を選ぶことから、自らのエネルギー構造を設計することへ転換すべきである。外部調達への依存度を可視化し、自家発電、排熱回収、蓄電池、需要制御等を組み合わせ、平時の経済性と有事の事業継続性を同時に高める。本稿では、その状態を測る管理指標を「エネルギー自給率」と呼ぶ。以下、①電力システム改革と自由化がもたらした構造変化、②蓄電池を中心とした分散型エネルギーリソース(DER)の拡大、③電力・燃料・熱を含むエネルギー自給率の経営的意義、④それを実装するエネルギーマネジメント能力、の4点から企業が今から着手すべき論点を整理する…
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