ホルムズ海峡有事からみる日本企業のエネルギーチェーンの再定義 ~複合リスク時代に必要となる有事耐性の設計~

2026年5月 シニア・エキスパート 吉川 賢一
安価かつ効率的な調達という平時の合理性は、有事においてはそのまま脆弱性へと転化する。この事実を明らかにしたホルムズ海峡有事における危機の本質は、燃料そのものが制約されることで、「価格」と「供給」が同時に揺らぐ構造にある点にある。企業にとって、エネルギーはもはやコストではなく、事業継続性と競争力を規定する経営基盤といえよう。本稿では、エネルギーリスクが発生する構造を解剖し、企業に求められる意思決定の転換について考察する。

Ⅰ.ホルムズ海峡有事が突きつけるエネルギー構造の脆弱性

 2026 年初頭から深刻化した中東情勢の緊迫化は、ホルムズ海峡封鎖という前代未聞の事態に発展した。その結果、企業を操業の危機にまで追いやるほどの影響をもたらした。この危機に対応することは、今や多くの企業にとって喫緊の経営課題となっている。

 今回の危機によって明らかになったことは、「安価で安定したエネルギー供給」という至極当然とされてきた前提が、地政学リスクの前では脆弱であったということだ。今回の危機は、単にエネルギー価格の上昇という表面的な問題としては決して捉えきれず、企業の操業継続、サプライチェーンの維持、価格転嫁力、さらには国内産業の競争力を左右する問題として捉え直す必要がある。

 とりわけ重要なのは.....

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