電力業界の変革と未来像 ~カーボンニュートラル・モメンタム終焉後の世界を見据えて~ 前編
2026年6月
シニアエキスパート
奥山 茂樹
電力需要の急増により、電力産業は再び成長軌道に入った。同時にカーボンニュートラル(CN)施策も急ピッチで進む。2050年までに残された時間を考えれば、もはや「現実的なCN施策」議論を先送りにする余裕はない。一方、将来CNモメンタムが一段落したとき、電力業界は、新たに直面する社会要請に手戻りなく対応できるだろうか。本稿ではCNモメンタム終焉後の世界を展望し、現在の取り組みを再点検する。そのうえで、業界にとって長期にわたり有効となる戦略のあり方について考察したい。
電力は成長産業へ そして、他産業の命運を担う国富の源泉に
2024年1月、突如として全国の電力需要想定が“ 増加 ” に転じた。電力広域的運営推進機関(OCCTO)が毎年発表するこの需要見通しは、それまで長期的な減少傾向が続いており、もちろん省エネ技術の高度化の影響もあるのだが、日本経済の停滞を暗示するものでもあった。かつて GDP(国内総生産)世界第 2 位の経済大国であった日本は、2010 年に中国に、そして 2023 年にはドイツにも抜かれ、現在は第 4 位に位置している。このような背景もあり、電力需要の減退は、国力の低下を想起させられる憂鬱な指標の一つでもあった。
それが、一転して長期需要増となり…
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