After DXの世界 ~スマートシティとメタバース~

エグゼクティブパートナー 太田 和哉
AfterDX(DXが浸透し、あらゆるものがデジタル化された後の社会)の世界観の受け皿として期待されるスマートシティとメタバース。しかしながら、世界創造の難易度の高さからビジネス化に向けた障壁や課題も垣間見える。市場動向や取組事例をもとに2つのテーマの現在地とテクノロジーによる課題解決の方向性を探り、今後の展望を考察する。

DXが浸透した後の世界

 DXが着実に進み、社会にデジタルが浸透し始めている。DXのファーストステージでは、世の中の様々な製品やサービスに対して、AIやIoTといったデータを収集・分析する技術が複合的に活用される事で社会実装が進んだ。


 では、DXのセカンドステージはどうなるのか。


 セカンドステージにシフトするためのトリガーのひとつに、XRやレンダリング等のバーチャル技術がある。バーチャルは、「仮想」と訳されることが多いが、本稿では「現実と事実上、同じような機能や効果を持つ」という本来の意味として表現している。


 バーチャル技術により、現実世界の人間性や我々が暮らす街の構造は、現実同等もしくはそれ以上の解像度により再構成できるようになってきた。それは、行動だけに留まらず、経験や学び、思考や感情までも含まれている。


 これは、デジタルによる単なる既存の課題解決に留まらず、新しい世界の創造と捉える事もできる。この世界においては、現実世界の時間・空間的制約に左右されず、事実上の現実世界とあたかも同様に経済活動を継続する事ができる。この世界観がユートピアかディストピアかは人の価値観によって異なるものだと思うが、少なくともビジネスとして受け皿となるのが、スマートシティとメタバースの2つになるのではないかと筆者は考える。


 一見全く異なる分野と思える2つのテーマだが、スマートシティは現実世界にバーチャル技術を融合させた世界、メタバースは仮想世界にバーチャル技術を融合させた世界と捉えることができるのではないか。本稿では、2つのテーマの現在地と今後の展望を伝えるとともに、その交点に続くWeb3への流れを探っていく。

スマートシティの現在地と課題

 内閣府が2016年に発表した第5期科学技術基本計画にて示した社会像「Society5.0」の一環として企画立案されたスマートシティという概念は、瞬く間にDX時代の一大トピックになった。この行政発のメガトレンドに対して、民間企業の多くはこれまで、現実世界を基点にデジタル時代の都市を開発していくアプローチを取ってきた。


 具体例としては……

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