日本の化学産業、「再編第2幕」の幕開け
2026年2月
シニアエキスパート
小谷 勇人
日本の化学産業では、再編の動きが新たな段階に入りつつある。規模拡大中心から、事業の選別や資源配分の見直しを通じて強みを磨く方向への転換が見られる。本稿では、産業全体を俯瞰しつつ、経営者が向き合うべき論点やティア別の考え方を整理し、今後の再編を検討する際の一助となる視点を提示したい。
日本の製造業の中で、劇的な変容を遂げようとしている産業の1 つが化学産業である
化学産業は、約96万人の従業者が従事し、国内の出荷額は約51兆円(いずれも2022年時点)と、製造業出荷額の約14%を占める巨大産業だ。工業製品のサプライチェーン上流に位置することから、あらゆる製造業に大きな波及効果を及ぼす重要な役割を担っている。そこで今、「第2幕」と呼べる業界再編が進行している。
業界再編の「第1幕」は2000年代から2020年頃にかけて進んだ。2000年代から統合に向けて動いていた三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンの3社が合併し、三菱ケミカルが誕生したのは2017年。2019年にはDICが独BASF社の顔料事業の買収に乗り出す。2020年に入っても、昭和電工と日立化成が統合するなど再編の動きが継続した。これらは同業種間での水平統合や規模の拡大を狙ったもので、いわば「量的拡大」と「合理化・効率化」を中心とした再編だった。
これに対し、再編第2幕の本質は、ビジネスの「選別と集約(峻別)」を追求して、より競争力の高い事業領域で体制を再構築することにある。そして、化学産業全体で均質な再編が起きているわけではなく、サプライチェーン上の各ティア(階層)で異なる動きが見える点も特徴だ(表1)。
本稿では……
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