改めてみるミャンマーのポテンシャル

  • 2019年2月
  • シニアマネージャー 西野 充樹

改めてみるミャンマーのポテンシャル

  • 2019年2月
  • シニアマネージャー 西野 充樹

民主化を遂げた国であり、内紛がまだ終わらない国でもあるミャンマー。多くの企業にとってどう手を付けるべきか難しい市場の一つだ。あまり日本で報道されない「今のミャンマーの実際」を追った。

アジアのラストフロンティアの開花はいつか

 アジアのラストフロンティアと言われるミャンマー。日本の約1.8倍の国土に加え、タイと比肩する人口約5千万人の内需市場を持ちながらも一人当たりGDPは最下位。つまりは賃金水準や物価がいまだに低く、まさにこれから発展していく国だ。加えて、中国、インド、タイなど他の成長著しい国々と面した要衝であり、多くの人がこの国の市場ポテンシャルに期待を抱いている。

 

 このような可能性を持ちながらも未だに「ラスト」フロンティアと呼ばれている背景として、政治的要因は無視できない。1962年にネ・ウィン将軍が軍事クーデターを起こして以降、長きにわたって軍事政権の社会主義国家となり、実質的な鎖国状態となってしまった。民主化を求める声は継続的にあったが、アウンサンスーチー氏をはじめとする民主化の指導者たちの軟禁や総選挙結果に基づく議会招集の拒否など、弾圧の報道はまだ記憶に新しい。この軍事政権の過激な支配を危険視した欧米諸国から経済制裁が課され、ミャンマーは世界経済から隔絶されてきた。それらの影響もあり、結果として、2000年頭から急成長を遂げたタイやマレーシアなどの国と異なり、飛躍的な成長を遂げることはできなかった(図1参照)。

 

 しかしながら、2007年、保守派(軍事政権派)であったソーウィン首相の死去に伴い、政権改革が始まった。後任のテインセイン首相のもと、アウンサンスーチー氏の軟禁解除やミャンマー最大の反政府武装組織、カレン民族同盟との停戦合意など政治的な安定がもたらされたと判断され、徐々に経済制裁が緩和された。2015年にNLD(国民民主党)へ政権が移った後、翌2016年に米国は経済制裁を完全に解除した。

 

 こうして新興国としての発展の軌道に乗るかに思えたが、いまだ多くの問題を抱えている。ロヒンギャ問題(ロヒンギャと呼ばれるイスラム系少数民族に対する迫害)の過激化とその鎮静化が図られていないと指摘され、2018年8月に米国は軍幹部4個人と2団体に経済制裁を科すことを発表。さらにEUも同年10月に経済制裁を再度科すことを検討していると発表している。このように欧米諸国とのビジネスが再び閉ざされつつある中、ミャンマーは飛躍的な成長を見せ、「ラスト」フロンティアから脱却できるのだろうか。改めてそのポテンシャルと今捉えるべき事業機会を検証した。

 

 

ミャンマーは真に有望国なのか

秘めたる可能性は極めて高い

 

 図1の指標が示す通り、ミャンマーは人口、国土の点では世界の中でも上位国であり、内需のポテンシャルは非常に高い。インドネシアがASEANの中でも頭一つ抜きん出たように、内需の大きさは経済成長のブースターだろう。また、治安と人柄の良さも東南アジアの中では高い位置付けにある。人口の約90%が仏教徒であり、男性の大半は一度出家するほどの敬虔な信者が多い。悪事を働くと自分に返ってくると信じているため、人口に対する犯罪率はタイよりも低いと言われている。

 

 加えて、ミャンマーは……

 

 

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